なみだいありー

書きたいこと

辛くて苦いチョコレート

今年もバレンタインの季節ですね。去年バレンタインにまつわるエピソードを披露しましたが、人生20年も生きていれば思い出話はあれだけにおさまるわけではありません。ですので今年もまた一つみなさまにうるうるくんの青春のエピソードをお伝えしましょう。

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高校2年生のバレンタインの日(正確に2月14日だったかは覚えてないです、金曜だったか月曜だったかもしれません)アニメやライトノベルのバレンタインデーのように学校全体が浮き立つようなこともなく、いつもと変わらない教室の風景がありました。
まぁ現実はこんなもんかと自分の席から教室内を眺めていると、「チョコちゃんと作ってきた~?」「Rちゃんと一緒に作ったよ~」みたいな女子たちの声が少し聞こえてきました。なんだかんだバレンタインデーってイベントは高校生にも刻み込まれていて女の子がチョコ菓子を作ってくる日なんだなぁ、僕も貰えたりしないかなぁと少しの期待を抱きました。

 

とはいえ、クラスメイト全員の前で意中の子にチョコを渡すようないわゆる『本命チョコ』に絡んだイベントどころか『友チョコ』や『義理チョコ』も見かけず、特にチョコのやりとりをみかけることもなく午前の授業時間が過ぎお昼ご飯の時間に。クラスメイトそれぞれが所属するグループに分かれ教室の数か所で大小の差はあるものの机を囲んでめいめいの昼ご飯を食べていました。うるうる君も男子6人で集まり「今日バレンタインじゃね?」「ホモ(トモ)チョコ、あるで」などと談笑しているとクラスの顔役の女子2人が大きなプラスチック容器を持って僕らに近づいてきました。

「うるうるくんたち、チョコいる?」

そんな声と共に差し出された容器に入っていたのは1口大の大量のトリュフチョコ。僕らはそれぞれありがとうなどと返事を返し一つずつチョコを取りました。僕ら全員が取ったところを見た後女子2人はそのまま別のグループにチョコを配りに行っていました。味の感想等も聞かれなかったので、これは本当に『義理チョコ』だなと分かりきっていた事実を脳に再認識させながらチョコを食べました。
普段お弁当にデザートを入れていないのでちょうどいいな、なんて言いあいながら。
配りにいった男子の大グループで盛り上がってる様子を見ながら。

 

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午後の授業も終わり部活の時間になりました。卓球部に所属していたうるうるくんは体育館で練習をしました。2月の寒い時期とはいっても練習をしていれば体は暖かくなるもの、休憩時間に少し熱を冷まそうと体育館の外の手洗い場まで行ったときに同じ部活の女子に声をかけられました。

「あ、うるうるくんいた」

なんで探してたのかな?と不思議に思いながら返事をしてみたらその手には小さなプラスチック容器が。

「はい、チョコ食べてよ」

中には大小さまざまな大きさの生チョコがありました。どうせ『義理チョコ』なんだろと、甘いものは好きなのでざっと見て一番大きそうなものを摘まみました。そのときに「あっ、そんなに…」とつぶやいているのも聞こえましたがそのままパクリ。そのまま他に配りにいくんだろうなぁと思っていたら、

「ねぇ、味どう?」

と笑顔で問いかけられました。どうせ義理、え、義理だよな?一瞬でパニックを起こした僕の脳みそはもうチョコの味どころではありません。とはいえ、味を聞かれたのだからよい返事を返すべきだろうと答えます。

「美味しいよ」

この言葉を聞いた女子は「えっ?」と非常に驚いた顔をしていました。なんでこの返事で驚くんだ??と僕のパニックがさらに加速しましたが、少しチョコを噛んでいるとなぜか口の中にピリピリした刺激を感じました。

「これ、わさび入りだったんだけど…」

申し訳なさそうな顔をしながらそう答える女子。わさび入り?味覚に意識を集中するとかなり大量に入れられていたようでかなりの刺激が口内に広がっていきました。

 そう、これは『義理チョコ』ですらなく『ドッキリチョコ』だったのです。

その後口直しにキチンと作られたチョコレートをもらい、他の男子がわさび入りチョコで辛いと悲鳴を上げているのを見ていました。

 

後に判明した事実なのですが、このときチョコをくれた卓球部の女子は卓球部の部長男子と付き合っていたらしく僕に可能性なんてものはなかったっぽいですね。
現実は小説よりも奇とはよくいったもんです。

 

おしまい。